養生について

前回、「治療」と「養生」が回復の両輪として重要と書きました。

では一体、どういう養生をすればよいの?という疑問を持たれる方もいると思います。

一人一人、不調の原因や体質も異なるため、一概にこれをすればよいということはありません。

しかし、東洋医学に基づいた養生法や健康法が書かれた書籍は本屋さんでも多く目にします。

これらの本は、東洋医学について書かれている中国の古い文献「黄帝内経素問」の考え方が少なからずとり入れられています。

では、「素問」のなかでは、どんな養生法が書かれているのでしょうか?

たにぐち書店の「素問 新釈・小曽戸丈夫」という本のなかで、季節に応じた養生法が書かれていて、今は冬なので、冬の養生法のごく一部をご紹介すると…

「夜は早く寝、朝は遅くまで床にあって日が昇ってから起き、寒気に損なわれないようにしなければならない。」

…とあります。どうでしょうか?

参考までに埼玉県の1月の日の出は大体6:50前後くらいです。この時間を遅いと感じるか早いと感じるかは人それぞれでしょうが…

働き方やライフスタイルが変化し、昔のような時間配分で生活するのは難しいかもしれません。

良くも悪くも、便利な生活ができる現代では、時間や気候にとらわれることなく活動できるため、それを抑えてまで実践することは容易ではありません。

では打つ手はないの?ということですが、現代でもできることはあります。

さまざまな養生についての書籍がありますが、わかりやすくお勧めなのが角川出版から出ている「ねこ先生トト・ノエルに教わるゆるゆる健康法」です。

マンガで読みやすく、絵もかわいいのですが、東洋医学の考え方に基づいた簡単な養生法が紹介してあるので、少なくとも一つは実践できそうなものが見つかると思います。

ただ、やはり、現代では自然の摂理に逆らった生活をしているという点では、常に心身に負担がかかりやすく、頑張り癖のあるところや弱いところに不調が表れやすいのではないでしょうか。

不調が現れてからでは、回復までに時間がかかることもあります。

そのため、不調が現れる前に、心身のバランスを整え、自分で不調を治せるからだ作りが大事になってきます。

この「自分で不調を治せるからだ作り」に鍼灸治療はとても役立ちます。

不調が現れる前、「そろそろきそう…」というサインを感じることができる方は、そのタイミングで治療に来ていただけるといいかなと思います。

もちろん、不調が現れた後でも十分効果は発揮できますが、どうしても回復までに時間がかかてしまうため、早めの治療が早めの回復につながります。

自分にはどんなサインがあるか?と心身に意識を向けるだけで見えてくる自分の姿もあるかもしれません。気遣うだけで変化する部分もあると思います。

さらに、鍼灸治療は、不調が現れにくくなるからだ作りも得意としています。そのため、心身のメンテナンスも含めて、負担にならないサイクルで定期的に鍼灸治療を生活のなかに取り入れることも養生の一つにつながるのではないでしょうか。