養生としてのマインドフルネス

少し間が空いてしまいましたが、前回、養生について触れました。

今回は、気軽にできそうな養生としてのマインドフルネスを紹介したいと思います。

マインドフルネスという言葉は耳にしたことがある方も少なくないと思います。

マインドフルネスは、ストレスの軽減や脳の活性化、創造性の発揮を促す方法として広まってきました。その代表的な方法は瞑想です。瞑想といっても、特定の宗教色はなく、こころ(意識)を「いま、ここ」に向けることで、ネガティブな思考や感情にとらわれることなく、現実や自分をありのままに客観視し、様々な視点から多様な可能性に気付けるような状態にもっていくことを目指しています。

Googleなどの企業でも導入されたという話題も記憶に新しいのではないでしょうか。

私は、この「瞑想」の時間が、昔懐かしい Windows 95 のディスククリーンアップやデフラグといった作業に似ているなと感じています。

なにそれ?と思う方も多いと思います。

私もパソコンはあまり詳しくないのですが、パソコンって、どうしても使っているうちにスピードが落ちてきますよね。作業しているうちに、データのゴミ?のようなものが溜まってしまうため、パフォーマンスが低下したり、プログラムが暴走するなどのバグが起こりやすくなります。そんなときに、ディスククリーンアップをして、不要なデータを削除し、デフラグする(断片化したデータを再構成して、まとめる)ことで必要なデータが見つけやすくなり、パフォーマンスを改善させようとする作業だと認識しています。

最近のパソコンでは、性能が良くなったこともあり、ディスククリーンアップやデフラグといった作業が不要なことも多いようです。

Windows 95 時代は、寝る前にディスククリーンアップをして、デフラグを実行しておいたら、朝起きてもまだデフラグが終了していないことが多々あり、色々心配になったことも懐かしい思い出です。

それはさておき、私たちの脳も、生活しているとどうしても思考のゴミのようなものが溜まり、それがパフォーマンスに影響しているような気がします。

人に言うほどではない地味に嫌なことってありますよね。

食べようと思っていたお菓子が食べられていた、満員電車で容赦なく押された、買おうと思っていたものが売り切れていた、足の小指をタンスの角にぶつけた…などなど

一つ一つはどうということではないかもしれませんが、積み重なっていくと「自分は運のない人間だ」とか「人生イヤなことしかない!」などと思い詰めてしまい、プログラムの暴走のように、脳の暴走が止まらなくなってしまうことも少なからずあると思います。

そういうときに、瞑想することで脳がリセットされ、「そこまで思いつめることもないんじゃないかな」と暴走を止め、ニュートラルな状態に戻れるような気がします。

東洋医学でも、七情(怒・喜・思・憂・悲・恐・驚)といった感情が生理的に受容できないくらい揺さぶられ続けると、体調不良の原因になるととらえられています。いい感情、悪い感情があるのではなく、どの感情でもいき過ぎるのは良くないのです。喜びすぎるのもからだに悪いなんて、ちょっと驚きですね。

感情のバランスを保つために、マインドフルネスは東洋医学の世界でも注目されているようです。

「医道の日本社」という東洋医学や鍼灸、マッサージの専門書を主に出版している会社からも、マインドフルネスの本が出版されていたり、月刊誌で特集されていたこともありました。

瞑想というと小難しい印象も受ける方もいるかと思いますが、簡単にできるものとしては、タイマーで1分とか3分とか負担にならない時間をセットして、その時間だけ目を閉じて呼吸に意識を向けます。

もちろん、呼吸はコントロールせずに、呼吸の状態を観察するようなイメージです。そして、呼吸に意識を向けているつもりが、「ご飯は何にしようかな?」など違うことを考え始めることもあると思います。それでもOKです。呼吸から意識が逸れたな、と気付いたときに、改めて呼吸に意識を戻せばいいのです。

この「意識を戻す」という作業が、こころの筋肉をつけるうえで重要と思います。

私たちは、悩んだり不安だったりすると考えても仕方のないことにとらわれ続けて、目の前のすべきことがおろそかになってしまうことがよくあります。

そんな自分の状態に「気付いて」今必要なことに「戻ってこれる」ことがとても重要と思います。「戻ってこれる」ためには、そういった習慣づけが必要で、筋トレのイメージが近いような気がします。筋肉は使わないと衰えてしまうので、適度な筋トレを必要とするのと同じように、「戻ってこれる」こころの状態をつくるための、こころの筋トレとして瞑想はとても適しているのではないかと思います。

ただ、瞑想は合う合わないがはっきり分かれる作業でもあると思うので、最初から長時間の瞑想はハードルが高いようにも思います。イヤイヤ取り組むのではなく、「やってみようかな」と思えることも大事です。

最近では、瞑想のCDやアプリ、動画なども沢山出ているので、自分に合ったものを探してみるのもいいかもしれません。

寝る前に布団のなかで瞑想の導入音声を聞きながら、いつの間にか眠ってしまったというのも個人的にはアリだと思います。

無理のないかたちで生活習慣に組み込めると、感情のバランスがうまくとれるようになり、いい養生になるのではないかと思います。

最後に、本を2冊ご紹介します。

どちらも CDがついているので、「こんなふうにやるのか~」と分かりやすく取り組みやすいかと思います。

『「キラーストレス」から心と体を守る!マインドフルネス&コーピング実践CDブック』  主婦と生活社

基本的なマインドフルネス瞑想に取り組むには、わかりやすくお勧めです

『心が整い、日々生まれ変わるはじめての瞑想 CDブック』  学研パブリッシング

ポジティブな状態をイメージするものが多いですが、どの瞑想も10分以内なので、手軽に取り組めます